読経の効果

うつ病
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昨今仏教をベースにしたうつ病予防法であるマインドフルネスが流行しています。
仏教哲学や瞑想法などが見直されているわけですが、ネット上で読経がうつ病に効果があると噂になっているようです。
某巨大掲示板にもそのようなスレッドがあったり、「うつ病 読経」と検索しますと色々と情報があります。
いずれにせよ修行が脳に影響があるとすれば何らかの効果はあるはずです。
今回は読経の効果についての考察です。

読経の時に脳は何が起きているのか?

お経とは仏教の経典ですが、読経はそれを読むことと書きます。
しかしお経はいわゆる漢文、漢字の羅列ですので小説を読むように意味を理解して読むものでは有りません。
読経とは漢字の羅列を一定のリズムに乗って声に出す作業です。
連続的に文字を判断し声に出す大変集中力のいる作業ですがこの瞬間的な判断の連続では脳内にノルアドレナリンという物質が分泌されます。
ノルアドレナリンは代表的な神経伝達物質の一つですが神経伝達物質は様々な情動変化やその時その時の心の状態を作り出す物質です。
さしずめノルアドレナリンは怒り、覚醒感、集中力、行動力を促す物質ですがこれが不足しますと、その逆に寝覚めが悪くぼーっとし倦怠感が続き、行動力が失われます。
それこそ、うつ症状ですが読経を行うことによって分泌を促すトレーニングにもなります。

抑うつ状態、不安感のメカニズム

人の脳は常に考えています、一人でいて何も喋らない状況でも頭の中では自問自答し続けいるものです。
特に鬱傾向の方は、これから起きる未来についてシミュレーションし不都合な状況が起きた時にどのように対処しようと考え続けていることが多いです。
この状態は抑うつ状態に多く見られる不安感ですが、不安とは起きてもいない事を考え続けてしまい、しかし行動力もない状態です。
この時神経伝達物質のバランスが良くない状態、ドーパミンが分泌されているもののノルアドレナリンが少ない状態です。
ドーパミンは行動の動機を司る物質ですが、未来を見据える物質とも言えます。
ドーパミンの未来を考える性格、しかしノルアドレナリンが少ない為に行動力が持てない状態、これを組み合わせますと不安感を抱いている状態と言えましょう。
このように起きてもいない事を考えても意味は無いにもかかわらず考えが止まらない状態が不安感と言えますが、脳が不必要に働いているのです。

ドーパミンとノルアドレナリンを適切にして不安感を払拭する

考えが止まらず不安感に押しつぶされそうな時、ドーパミンが多くノルアドレナリンが少ないこのような時非常にバランスの悪い脳の状態になっています。
ドーパミンを減らしノルアドレナリンを増やす必要があるわけですが、ドーパミンはノルアドレナリンの前駆体(ぜんくたい)物質と言い言わばノルアドレナリンの原料でもあります。
つまり、不安な時にノルアドレナリンを増やせばドーパミンは減りバランスが良くなると言えます。
冒頭にも書きましたが読経は集中力が必要な作業ですから丁度ノルアドレナリンが分泌される作業ですのでバランスを良くする作業なのです。
まとめますと。
不安感で頭の中で何か考えている時ドーパミンが多くノルアドレナリンが少ない状態なので読経を行えばドーパミンを減らしノルアドレナリンを増やしますから、理屈で言えば脳のバランスが保てるようになるので不安感が無くなると言えます。

読経は何も考えない時間です。

このように脳が休まず無駄に考えが止まらない状態を雑念と言いますが、読経をはじめとした修行は雑念を払う目的もあります。
不安でナーバスになっている時、色々と考えてしまって頭の中で自問自答する状態が止まりません、これこそ雑念ですが、このような時に読経をすることは効果が見込めます。
文字を追いかけて声に出す時には何かを考える余裕もありませんから雑念は止まっています。
ナーバスな不安感が止められるのは効果の一つです。
不安な時に考えていることは、起きてもいない未来の事、自分にとって不都合で不利な状況をどう回避するかを考えています。
しかし冷静になればそれは、今目の前で起きているというものでも有りません。
仏教徒は、何か起きた時に備えて事前に考えあぐねるような事はありません。
言ってみれば事が起きたらその時考える、なのです。
その時その時今の瞬間起きている事を冷静に観察し最善に行動し対処する、しかし事が起きていないことならば考えない、そしてそのような脳になるよう修行して訓練しているのです。
余談ですが東日本大震災の時に被災者の受け入れをしていた某地方自治体職員の知人が言っていましたが、いわゆる銀色の防災袋を背負っている人は一人もいなかったそうです。
つまり、起きてもいない地震に備えて防災袋を準備してもあまり役には立たず、むしろその時に最善を尽くした人が生き残っているのです。
雑念だらけですと、咄嗟の事態にどうしようどうしようとパニックになって行動ができません。
「今津波が迫っているから高台に避難しよう」と、今するべきを冷静に判断し行動する、このような今最善を尽くせる思考の方が大切、備えるべきはむしろそれかもしれません。

呼吸にも注目してセロトニンを分泌させる

話は変わりますが読経のさいに呼吸も大切なことです。
呼吸は精神とも大きく関わりがあり、例えば緊張している時は短く浅く早い呼吸、リラックスしている時は長く深くゆっくりした呼吸になります。
読経の集中力によってノルアドレナリンが過剰になりますと焦り、緊張、怒りなどのストレス物質としての側面が強くなりますがこれを適切にしなければバランスが良いとは言えません。
そこで読経の時の呼吸にも注目してみましょう。
読経で声を出す時、呼吸は息を吐いていますが一定のスピードで安定して吐いています。
一定に長く吐き続ける事になりますので緊張をほぐし落ち着きを取り戻します。
この時神経伝達物質ではセロトニンが分泌されてますがセロトニンは、過剰になったノルアドレナリンを減らし焦りや緊張と言ったノルアドレナリンのストレス物質の顔を鎮める役割があります。
つまり、読経の時はノルアドレナリンの覚醒感と集中力を持ちながらセロトニンの落ち着いている状態を強制的に作る事が出来ます。
行動力がありながら不安や焦り、緊張が無い状態を作るトレーニングと言えましょう。
セロトニン分泌を意識しての読経では息継ぎの間隔はなるべく長めにして、それこそ息を吐ききってから息継ぎするイメージが良いでしょう。

最適なお経は観音経

読経と言いますと皆さん口を揃えたように般若心経と言いますが、今回の記事のような効果を体感するには般若心経はおすすめできません。
別に般若心経が悪いお経と言うわけではありません。
理由としましては、神経伝達物質が分泌されるには行っている時間が大事です。
神経伝達物質は分泌される行動を取り始めて10分くらいから分泌が始まりますので15分から20分くらいの継続が適切、つまり般若心経では圧倒的に時間が短すぎるのです。
20分前後くらいで唱えられるお経となりますと観音経がそれに当たります。
観音経とは正式名称「妙法蓮華経 普門品 第二十五」と言い法華経の一章です。
長さとしては最適なお経と言えますので観音経を用いる事をおすすめいたします。
下記のページに読経の具体的な方法や観音経のダウンロード先も書いてありますのでよろしければ合わせてお読み下さい。

毎日の継続で脳の体質を改善する

例えばうつ病と診断される状態ですと神経伝達物質のバランスが悪い状態が長く続いているわけですが、この状態が長く続きますと脳はバランスが悪い状態で最適化されています。
骨折した時と似ていますが、例えば足を骨折しますと骨折した足は使わず患部をかばいます。
これが数ヶ月続きますとそれまで歩いたり走ったりする筋肉を使わないわけですから筋肉は衰えます。
骨が固定した後リハビリして正常な筋肉に近づけるわけですが、うつ病も同じくで脳の問題ですから言わば衰えています。
それを回復させるには、リハビリと思い毎日行うことですがおおよそ三ヶ月くらい行いますと段々と正常に近いバランスに戻ります。
言わば脳の体質を根本的に変えることですから、筋トレと同じようなイメージを持っていただくとわかりやすいかと思います。
筋トレを毎日行えば段々と筋肉がついてきます、それと同じことなのです。
不安になりやすい体質の脳、根本的に体質を変えればくよくよ悩まない性格になれるでしょう。

最後に一言

仏教は抜苦与楽(ばっくよらく)教えです。
抜苦与楽とは苦しみを抜き去って楽しみを与えると言う意味ですがうつ病と言う苦しみにも答えを持っています。

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